中国茶の世界

ホーム → ■読壺、養壺

下ろす作業

紫砂造型

驚破現象
 
 
西施壷
巨匠「王寅春」の倒把西施壷
  荷花壷
巨匠「蒋蓉」の荷花壷
     

 紙幣の偽造は何処の国も間違いなく犯罪であり、また、ソフトウェアのコピー販売(バックアップは別 ですが)も違法行為です。しかし、紫砂壷の世界では少し違うように思います。名作を「真似る」事が上達への近道という事で、陶芸作家が自分の教え子や子供達に自分の作品と同じ物を作らせたり、歴代有名作家の作品を手本に作らせたりしています。ちょうど美術の授業のようで、私も小さい時に、親に「これと同じ物を書いて見ろ」と印刷された有名作品を渡された事を思い出しました。そう、これは別 に紫砂壷業界だけの話ではありません。皆さんも書道、美術や音楽の授業を思い出して見て下さい。欧陽詢や顔真卿の書を真似て、それ以上書けたら誇りであって、決して犯罪になりません。音楽も名曲に感動して、自分のコンサートで名曲ばかりを弾いて、「何だ、独創性がないからお金返せ」という事は決してないはずです。

しかし、紙幣の偽造は使うか使わないかに係らず違法ですが、壷を複製したら罪になるという法律は多分何処の国にもないと思います。その上、師匠も弟子のマネを認めたり、薦めたりしていますので、コピー王国の中国では、もう大変!市場に人気作家のコピー商品が大量に出回っています。初心者でも簡単に贋作だと見破るコピー品もあれば、壷数十年やっているような専門家まで騙されるような精巧物まで存在します。繰り返し、言っておきますが、模作(倣古)は贋作とは違います!


「名作・模作・贋作」と言葉を使い分ける事が非常に難しい。私の独断で次のように解釈し、説明して行きたいと思います。違う意見をお持ちの方もいると思います。また、おかしい所があれば遠慮なくご指摘下さいませ。

・オリジナル:模作、複製、模写などに対して、原型の元となる物、現物。有名、無名作家に関係なく、市場初の独創性あるものはオリジナル物。有名、無名作家と書きましたが、デビューしていきなり有名作家になった例はあまり聞きません。努力を積み重ねて有名になって行きますので、たとえ今は無名でも市場初の独創性ある作品を出せば、いつか認められる時が来る可能性も考えられます。模作ばかり作って、有名になる事もあり得ます。

・模作、模造品:オリジナル物のデザインや独創性に憧れ、あるいはその商品価値が認められ、模写 、写しを作る事です。これはオリジナル作品を作り出した作家がよく自分の弟子に作らせらりします。認められています。またこれがなければ紫砂壷が成り立たないと言っても過言ではありません。

オリジナルに近い出来、或いはオリジナルそっくり、人によってオリジナル以上の仕上げと様々です。できた作品に模写 、写した作家が自分の落款(印)を押して行きます。作品は模写し、落款だけは自分の物にする事は別に悪い事ではないと思います。しつこいですが、先の書道や音楽の例を思い出して下さい。模写した作家が誇りを持って、自分の款式をしていますので、市場混乱を招くこともありません。

・贋作、粗悪品:私達が日常生活の中で使っているコピー機器はボタンを押すだけで簡単に複写品が出来てしまいます。しかし、壷の複写機が残念ながら、この世の中に存在しません。これからも出てこないであろうと思います。よって、オリジナルに近い作品を作る事は相当の努力が必要です。しかし、人によって出来が悪いのに、款式までもオリジナルの物と同じにする事はオリジナル品を作った作家への侮辱だと個人的に思います。その上、その商品が流通に乗れば、市場混乱を招くという点は否定できません。

宜興ではお金さえ出せば、ハンコ屋さんが「顧景舟印」、「漢棠製陶」や「蒋蓉」の印鑑がいくらでも彫ってくれます。悪質業者は印鑑まで彫って、市場にたくさんの偽紫砂壷を流通させ、利益を得ています。

款式は自分の物にする事は写した作家の誇りであり、「模作、写し」と定義。下手の仕上げなのにオリジナル物と同じ款式をし、販売目的、最初からお金を騙す為のコピー商品を「贋作」と定義させて頂きます。

私のような素人は「贋作」について語るのも説得力がないので、巨匠徐秀棠の著書「中国紫砂」の中から「贋品」や「作偽」に関する解説が詳しく書いてあり、権威ある方の解説なので、興味有る方は是非一度「中国紫砂」を読まれる事をお薦めします。
     
  款式
■このように↑堂々とコピーして、款式までも「蒋蓉」と書いてある物も多い。近い物まで仕上げていれば、また許せ?ますが、いい加減なコピーはやっぱり、款式は止めて欲しいですね。日本でもかなりの数が入っているようです。販売価格は3千円前後。本物は写真でしか見た事ありませんが、素人の私も「凄い」の連発でした。(爆)

*有名の青年陶芸家である「葛軍」さんが製作された2つの「申奥壷」が国家体育総局と郵政総局に贈られましたが、市場に出るはずのないこの「申奥壷」が直ぐにコピー品が出回り、紫砂壷に関して、初めて裁判になった事を知っている人も多いかもしれません(無錫市中級人民法院) 。


ライン
Copyright (C) 1998〜2016 中国茶の世界(真如禅意精品流通)