■宝塔詩(一字到七字詩茶)「げんじん」(yuan-zhen)は中唐(779〜831)の人。河南省洛陽出身。白居易の親友。若干15歳で明経科に及第し、28歳で上級試験に出席で合格されました。白居易と同じく、詩風は平明で誰にも分かりやすく、また社会の矛盾を歯に衣着せずにうたった方。この詩は親友の白居易を送る茶会時に作った物です。
お茶の形態、茶道具、飲んだ後の感想を階段状にして表現されました。
一行目は点題、定韻。タイトルのような物です。二行目の「香ぐわしい葉、若い芽」はその時に出されたお茶の品質を謳った物です。
三行目の「詩人に好まれ、僧侶に愛される」はお茶はその時代に文人と僧侶に好まれ、愛され物である事を記してあります。お酒は精神を濁りますが、お茶は良い詩詞をうむと言う人もいます。
四行目の「白玉のような臼で芽を砕いたり碾(きざ)んだり、紅い紗の上に綺麗に敷き並べる」はお茶の製造や仕上げ法。その時代のお茶は団(餅)茶なので、摘んだ茶葉を砕き、団茶に仕上げて行きます。飲む時に砕いて煎れます。
五行目の「釜で煎れれば黄色い茶湯、碗にはこうじの花のごとく」煎茶の茶湯の色は現代だけではなく、昔からお茶の湯色も楽しむ要素の一つを表しています。
六行目の「夜になれば月見と共に、暁には朝焼けと向かい合う」お茶を愉しむ時に茶葉の質以外に、一緒に飲む相手、飲む場所(環境)と時間は今も昔も変わらないですね。
最後の「古今の人々の心を洗い尽くし倦むことなく」はお茶は人々(昔も今も)の疲れを取り、疲れを感じさせない素晴らしき飲物を謳っています。
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