■解説: |
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李白(701〜762)は唐の大詩人。字は太白。杜甫と並ぶ盛唐の代表詩人。杜甫を「詩聖」とするのに対して、李白は「詩仙」と称されている。 |
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中孚は李白の宗(イ+至)(おい)である李英(湖北の玉泉寺に出家してる)。
仙人掌茶は玉泉仙人掌茶というお茶。扁平で掌のような物から得た名前。その後、死滅したが1981年以降また復活させた模様(現在中国で入手可能。製法も唐と同じく蒸青)。李白のこの詩で仙人掌茶が一気に有名。また「名茶入詩」の始まりはこの李白の仙人掌茶だとも言われている。仙人掌は今日では一般に観葉植物のサボテンを指すが、この詩の中では違う。
玉泉山は湖北省当陽県にあり、名刹「玉泉寺」は玉泉山に建つ。
仙鼠は鼠ではなくコウモリを指す。白いコウモリが大きくて鴉のように。
以拍洪崖肩の「洪崖」は仙人の名前、玉泉仙人掌茶で洪崖仙人をもてなす。
無塩は醜女、斉国無塩(現在の山東省)人。
諸天は仏教用語。李白の注によると「佛書言、三界共有三十二天、自四天王天至非有想非無想天、総謂之諸天」。 |
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解説文: |
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曾て玉泉山の事を聞いた事がある。 その山の洞穴には鍾乳洞が多く、白いカラスのような年ふりたコウモリが、清渓の月の光のもとに逆さに(鍾乳洞の壁に)掛かっている。
茶の樹はこの洞穴にある石に生え、玉のような泉が流れて尽きない。
茶の樹の根や枝には、その香りの良い水が注ぎ、その茶を摘んで飲めば肌や骨がみずみずしくなる。
年月のある茶樹が緑の葉は巻いたようになり、枝と枝が交わり連なって茂る。
その葉を摘んで日に晒して仙人掌茶となり、かの仙人洪崖先生をもてなす(洪崖仙人の肩を叩くような心地という訳も)。
世間では今まで見たこともない、その名は決まったのだが、一体誰がそれを伝えて行くのか。
一族の英才、僧侶の中孚、素晴らしい詩を贈ってくれた。(?)
*一族の英才、僧侶の中孚、貴重な仙人掌茶を贈ってくれたお陰で佳い詩が生まれた?
まるで清らかな鏡で無塩醜女を照らし出し、西施の美しさにかえり見る事が恥ずかしい。
中孚くんは朝のお勤めの閑時に、詩を長吟して宇宙にまでも届かせよう。 |