中国茶の世界
ホーム → ■中国茶詩、茶聯、茶事 → ■唐・宋茶詩
ライン




試院煎茶



■解説:
 
 蘇軾は中国北宋代の政治家、詩人、書家。号は東坡居士。蘇東坡と呼ばれることが多い。四川省眉山出身。唐宋八大家の一人(蘇軾の父と弟も入って3蘇)。
 
 試院煎茶の訳:
 
 小さい泡(蟹眼)が過ぎ、大きめの泡(魚眼)が出始め、やがって松林を吹く風の音が聞こえようとする。

 挽き臼から小さな真珠の如く茶の粉がこぼれ落ちて来る、茶碗の中に軽く白い雪が舞う如く茶が眩しく見える。

 銀の茶瓶で沸かす天下第二の湯を注ぐも、古人の水を煎る心が分かっていない。

 昔、李生(唐代の李約?)は来客好きで、いつも自ら茶を煎れる、汲みたての水(流れる沸き水や川水は活水と言う)を勢いのある炭火で沸かすのが良いとしている。

 現在(宋)の路公(文彦博宰相)が茶を点てるに、西蜀の手法で、定州の真紅の玉のような文様入り茶碗を用いること知っているか。

 私は現在貧しい上に病にもかかり、美しい女性に高貴な茶碗を捧げさせる分際ではない。

 せめて路公(文彦博宰相)の格調高い趣だけでも真似て茶を愉しもう。粗末な火鉢(茶鉢)と石の湯沸かし器が、私の行く処にお供する。

 腹の中に五千巻の書物をぎゅうぎゅう詰めは望まない、日が高く登るまでゆっくり眠り、目覚めたら一杯のお茶が飲める事だけ切に願う。

 *盧仝の「日高丈五睡正濃」の生活に憧れる。


ライン
Copyright (C) 1998〜2016 中国茶の世界(真如禅意精品流通)